アビる

集団心理学のお話し「アビリーンのパラドックス」
通称「アビる」
空気をよみすぎた結果、だれも望んでいない誤った結論を導く。という話しです。
心理学に興味のある方はどうぞ。


8月のとある暑い日。
ある男性が妻の実家アメリカにある町に帰省をしていた。
その日は、妻とその両親の家族4人でカードゲームを楽しんでいた。

そろそろみんなゲームにも飽きてきたころ、
状況を見かねた義父がこう言った。

義父「ゲームにも飽きてきたころだし、
今日はアビリーンにご飯でも食べに行かないか?」

アビリーンとは、コールマンから53マイル(約85キロ)離れた田舎町。
おいしくないレストランが1軒あるだけの町。
距離もここから遠いし、車はエアコンが効かないし、道中は砂漠で埃だらけ。
レストランもおいしくない。
以前、このメンバーで行って酷い目にあった場所だ。

男性は思った。

どうしてお義父さんは、そんなことをいうのか。
昔行って酷い目にあっているというのに、冗談にしてはきつすぎる。
しかし、男性は気を使わないといけない義父の提案を断ることなどできない。
それでも男性は、自分の妻とお義母さんがきっと反対するだろうと思っていた。
しかし、期待もむなしく、

義母「うーん、そうねぇ、ひさしぶりにいいかもしれないわね。」

妻「まぁ、お母さんが行くというなら行ってもかまわないわ。あなたはどうなの?」

こうなってしまっては、男性もイヤとは言えない。
男性「そうですねぇ、あの町も以前と変わっているかもしれないですしね。行きましょう。」

こうして家族はアビリーンに向かうことになった。

   *   *   *

エアコンの効かない車でデコボコ道を長時間かけて進み、
ようやくたどり着いたアビリーンには、おいしくないレストランが1軒。

まずい食事を済ませた家族は、帰路につくわけだが、
当然同じ距離を同じ環境で帰ることになる。
その帰り道の車の中は誰も一言も話をすることはなかった。

やっとの思いで、家に戻った家族はテーブルに座り、深いため息をついた。
誰もが疲れ果てて重たい空気の中、義父が苛立ちをあらわに重い口を開く。

義父「しかし酷かった。アビリーンに行きたいと言い出したやつは誰だ。」

妻「アビリーンに行こうと言い出したのお父さんよ。」

義母「そうよ。お父さんが言い出したのよ。」

確かにアビリーンに行こうかと提案したのは義父であった。

しかし義父は、
「お前たちが退屈そうにしていたから、ちょっと言ってみただけだ。
本当は私だって行きたくはなかったんだ。
だいたい、お前たちだって行きたいといったじゃないか。」

すると、義母は、
「私たちだってあんなところ行きたくなかったの。
でもお父さんが行きたいのかと思ったから、
気を使ってそういっただけじゃない。」

妻も同様に、
「私もそう、あなたはどうだったの?行きたかったの?」

急に振られた男性も本当のことを話した。
「いや、実は僕も前回酷い目にあってるから行きたいわけではなかったんです。
ただ、みなさんが行きたいのかと思って…。」

義父は先ほどの苛立った表情から一変し、
狐につままれたような表情でこう言った。

「なんだ、誰も行きたくなかったっていうのか、
どうしてこうなった!」

そもそも誰もアビリーンへ食事になんて行きたくなかったのに、
結局彼らはアビリーンに行ってしまった。


「どうしてこうなった!」
これ、リアルでもよくあります(^^;)

アビリーンのパラドックス状態にならないようにするための解決方法、
みなさんならどんなことに気をつけますか?・w・


「アビる」への2件のフィードバック

  1. 不のオーラは周りに感染するといいますね。マイナスな言動は周りに不のオーラをばら蒔くと同時に、言葉にする事で自分をマイナスな方向に自己暗示していく気がします。集団のなかではなるべくマイナスな意味合いの言葉を使わないように心がけテイマス。私のカウンセラーは
    飲み屋のおねーちゃん。以上フェザーンでした。ぷろぐ楽しみに拝見してます。

  2. フェザーンさん
    お!お久しぶりです。ブログ見ててくれてるなんて嬉しいです。
    プラスの言葉でいい雰囲気をつくりたいですね!
    私のカウンセラーは、不動明王です(笑)

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